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2010年11月06日 シーンNo.6-01 行動結果リプレイ   『 王の帰還 』

シーン6-01「小さき王の帰還」






■■■ PTC@TRPG企画 ■■■
シーンNo.6-01 行動結果リプレイ 
『 小さき王の帰還 』





 夜が訪れようとしていた。
 日輪はいまや山影に完全に沈み、世界は紫紺色に染まり始める。
 辺りが暗くなるに従って、虹の橋はいっそう強くまばゆく、その存在を
世界に浮かび上がらせていた。

 山上の塔からゆるく弧を描いて森へと架かる橋、その終端に開き始めた
異世界へと繋がる《門》。
 その虹色に輝く球状の空間をくぐり抜け、現れ出でる存在がいた。
 小さな小さな、赤いネズミが1匹。
 おとぎ話に語られた、“小さきものたちの国”を統べる王であった。



「…………………え? いるの? ホント? あそこに?」
「ちょっ、二位三! 雰囲気丸つぶれじゃない、静かにっ!」
 塔の窓から身を乗り出し目を凝らす二位三と、そのつぶやきにツッコミを
入れるノアーレ。
しー、と口元に指をあてるノアーレを見て、くすりとシズナが笑う。


 ネズミの王は、おずおずとその足を一歩、橋の上に踏み出した。
 つぶらな瞳には、遠慮というか申し訳なさというか――親に叱られる前の
子供のような、そんな表情が宿っていた。
 そのとき、ざあぁ……と風が吹いた。風は王の体を包むように、優しく
撫でながら通り過ぎていく。
 カオスフィールの広大な森を渡ってきた風は、夜の冷気を含んで少し
ひんやりとしていた。まるで、少し前まで戦場だったこの場所の熱気を、
洗い流しに来たかのように。
 両頬のひげを、風の流れに任せてひよひよと遊ばせながら、王は心底嬉し
そうに目を細めてその感触に身を委ねた。王の体と心を包んでいた緊張が、
ゆるりとほぐれていく。
 暗く深い地中にいたこの数百年、涼やかな夜風にその身を任せる心地よさ
は、全く無縁であったことだろう。
 今、彼は地上に戻ったことを、その身全てで実感していた。





 * * * * *




『 ほんとうに ごめんなさいでした 』
 塔の最上階で、ネズミの王は看板の上に新たに謝罪の文字を浮かび
上がらせ、ぺこりと頭を下げた。
 その様子を見て、苦笑いを浮かべながらもうなずく一行。

 王が引き起こした今回の事件は、危うく世界を滅亡の危機に陥れるもの
であり、簡単にその罪を流せるようなものではないと思われた。だが、
この場に集まっていた人々は、王に厳しい責任の追及を行うようなことは
しなかった。
 ただ、なぜ今回のような事件を起こしたのか、その説明が欲しい。
皆がそう感じていた。
 そこで、一度塔に戻って事の顛末を王自身から聞くことになったのだ。

 塔の中では、ネズミの民たちも王の帰還を歓迎して待っていた。
 この大人数だとさすがに狭く感じる塔の最上階で、チュウチュウと鳴く
ネズミたちの声をバックサウンドに、会話を進める。



「ええと、今回この機械を起動させたんは、やっぱり……」
『 はい ちかのせかいから ちじょうに もどりたかったからです 』
 セシルの問いに、ネズミの王は看板の文字を変えて答える。すでに
この回答を予想していた者は少なくなかったようで、場のあちこちから
うなずく仕草が見て取れる。
「これ……どういう仕組みになってるの?」
 蔡花(さいか)が看板に手をかけながら尋ねた。王は再度、看板の
文字を変えて返答する。
『 ええと これは せつめいが むずかしいのですが…… はくしそざい
に かいた てくすちゃを はりかえて…… 』
 途端に、場の全員の表情が「???」となる。
 顔を見合わせる面々。ネズミの王が何を言っているのか、さっぱり
わからない。


 そのとき、部屋の隅からクスクスという笑い声が響いた。
「えーとね、《魔法》なんだと思えばいいと思うよ。自分の洋服を
着替えるように、ありとあらゆるモノの見た目と本質を変える――
そんな素敵な《魔法》が、この世界にはあるのさ」
 猫のクレバーが、そういってウィンクをする。クレバーの側には
エレガンとパワフルも立っていた。
 戦いの最中、魔道機械の正式発動ができた辺りから3人揃って姿を
消していたのだが、いつの間にか戻ってきていたようだ。
 クレバーの発言を受けて、ネズミの王が言葉を続ける。
『 そうです このかんばんも このおおきな とうも そうやって 
ぼくが《描いた》ものなんです 』
「な……なるほどね。んーと、たぶん理屈はわかった……と思う」
 グラスメア卿が少々自信なさげに言う。
「えーと、じゃあ、この魔道機械もそうやって作ったものなの?」
 蔡花(さいか)が、ネズミの王への質問を再開する。
 看板や塔の出現については、王の説明した内容で何となく理解が
できる。だが、魔道機械とその能力――異世界と繋ぐなどという途方も
ない現象を起こし得る原理については、先の説明だけではいささかの
不足を蔡花(さいか)は感じたのだ。
『 どういえばいいのかな… げんり は おなじ なんですけど… 』






「――そこから先の解説は、私にさせてくれないかね?」






 ネズミの王が返答に詰まったそのとき。階段から、一人の人物の
声が響いた。
 階下からゆっくりと姿を現したのは、占い師のオラクル婆さん。
「あらお婆さん、いつの間に……?」
 レティのその問いへは、続いて現れたカペラが答える。
「戦いが終わった直後、私の電子端末に通信が入ってきたの。塔に
行きたいからガンシップで迎えにきてくれ、って」
 なるほど、と納得をする面々。
「さて、話の腰を折ってすまないね。魔道機械のこと、ここから
先の話はこの世界の秘密に繋がる話になる……心して聞いておくれ」
 オラクルの言葉に、場の空気がやや緊張したものに変わる。
 床面にいるたくさんのネズミたちも、ぴたりと鳴くのをやめた。
 部屋がしん、と静かになる。


 オラクルは、全員の顔をゆっくりと見渡したあと、言葉を紡いだ。





「……この世界はね。
 世界自体が、大きな大きな《白紙の型紙》なのだよ。
 未(いま)だ、描(えが)かれざる世界……。

 アーティスキュール、
 サイエンティック・ヘブン、
 カオスフィール。
 この3つの国を柱として形作られるこの世界は、
 様々な《色と形》を、まさにこれからその身に受けるところ――
 つまりは、白いキャンバスのような状態なのだよ」




 オラクルの言葉は、場にいる者たちにとってあまりに信じがたく、
また実感の伴わない内容であった。
 この世界が、白紙である、と――?


「この世界が薄っぺらなものだ……などと言いたいのではないよ。
むしろ、どんな世界よりも包容力と可能性に満ちた、素晴らしい
世界さ」
 そう告げるオラクルの声音は、まるで孫に語りかけるかのような
愛情を宿していた。
「そして、この世界は“白紙の世界”ならではと言える《大いなる力》
を自ら生み出した。それは《異世界からの来訪者を抵抗もなく受け入れ
迎え入れる》……そういうものだったのさ」
 オラクルは、場にいる者たち一人ひとりの顔をゆっくりと見渡した。
「ここにいる者たちの中にも、この世界ではないどこかの世界を
由縁由来とする者たちがいるはずさね。魔界や天界から来た者や、
どこかの国の物語の中で語られている者など……。もちろん今ここで
誰が、なんて無粋な真似はしないよ。安心するといい」
 その言葉に思い当たり、内心ドキリとした者は少なくなかった
ようだ。もちろん、誰も表情には出さないままではあるが。
 その一方で、エレガンやクレバー、パワフルの3人は意味ありげな
微笑みを浮かべていた。自分たちはこの世界の者ではない、と既に
名乗っていた彼らにとっては、オラクル婆さんの言葉に何ら隠す
ところはなかったからだ。
「そうやって“世界を渡る者たち”は、どの世界にもそれなりにいる。
さほど珍しいものではないのだよ。ただ、この《3つの国から成る世界》
が受け入れる異界存在は、驚くほど多い……」
 真剣なまなざしで、オラクルは言葉を続ける。
「それは、人物だけにとどまらない。時には、世界そのものだって
受け入れてしまうくらいに――この世界の包容力は、大きいもの
だったのさね」
 オラクルはそう言いながら、ゆっくりと魔道機械に近づいた。


「この機械もまた、そうして生まれたものさ。広場にある円環の
パーツ群は《世界を構成する物体》であると同時に《他存在を
受け入れる白紙》でもあった。
だから、白紙を彩り、変形構成させる方法を組み合わせることで、
異能の力をもつ“アーティファクト”と成ることができたのさ」


 オラクルの言葉を聞いて、魔道機械の解明を行っていた者たちは
『BLENDER』というプログラムを思い出した。
 彼らはまさにそのプログラムを使い、機械の形を実際に変え、
秘められた大いなる力を意のままに操るに至ったのだから。
「《ビフロストの橋》という異世界の神話伝承までも、円環の白紙は
魔道機械へと形を変えて受け入れた。そのため、その伝承に語られる
ような、異世界への行き来を可能にする《虹の橋》までをも、この
世界にもたらしたということさね」
『 そういうことです 』
 オラクルの言葉に続けて、ネズミの王が看板に文字を表す。


『ぼく ちかのせかいから でたかったから… この ほうほう
 だったら そとに でられるかなって おもって…
 でも こんなことになるなんて おもわなかった』
 途端に、部屋のネズミたちが王を囲み、一斉にチュウチュウと
鳴き始めた。
『 ううん きみたちのせいじゃないよ 《はこんでくるものを
 まちがってごめんなさい》 なんて そんな あやまらないで 』



 ……部屋の中に、なんともいえないしんみりした空気が流れる。
 だがその直後、その湿っぽさを根っこからダイナシにするような
間の抜けた音が鳴り響いた。




ぐう~~~~~~~きゅるるるる。




「あっ…………てへっ☆」
 盛大に腹の音を響かせ、笑ってごまかすらぱん。
 緊張感はあっという間に消え失せ、代わりに笑顔がその場にいる
者たちの顔に自然と浮かんだ。
「うん、私もお腹すいた!! さささ、難しい話はここまでにして、
皆でなんか美味しいモノでも食べようよ!」
「おう、賛成だ! メシ、メシー!!」
 一斉に皆が立ちあがり、笑い合う面々。
 オラクルやエレガン達も、皆と晩餐を共にする意向のようだ。


「王さまも、ネズミさんたちも、晩ご飯……一緒にどう?」
 セイリスが優しく誘いの声をかける。
『 あ いえ その…… こっちにかえってきたら まずやらなきゃ
いけないことが…… 』
「何をするの?」
『 えと あの… たいようさんに《ごめんなさい》を… 』
 看板の文字が、文末に従って少しずつ小さくなる。決まり悪そうに
身を縮める王の様子は、いたいけながらもどこか滑稽で、見る者に
思わず笑みをこぼさせるものだった。
「なーに言ってるアルか! どの道お天道様は今、地平の彼方に
沈んで見えないアル!」
「そうさ。明日の朝、夜明け一番にやればいいんじゃないか?」
「今夜はネズミさんたちも、王さまの帰還のお祝いしたいんじゃ
ないかな?」
 ミィニィ、エスヴァルド、そしてDEARが順に、王に優しい言葉を
かけていく。
『 で では…… おことばに あまえて……! 』
 ネズミの王はパチパチと目を瞬かせた後、嬉しそうにうなずいた。




 ――さあ、皆で帰ろう。
 街の人々が待つ、あの広場に。









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シーンNo.7-01 『 エピローグ ~ PARTY CASTLE ~ 』へ続く



 
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